単位制高校には従来型の高校と異なる特色がいろいろありますが、その特色をうまく利用することによって、これまでにはできなかった高校生活を実現することが可能になります。高校中退者の復学もその一つですが、学校側の一方的な押しつけでなく、自分のペースで学習したり、得意分野を伸ばすことができますので、たとえば、芸術や芸能・スポーツなどの進路をめざす人や、職業的な技能を身につけながら高校卒業資格を取りたい人、また、大学受験に専念したい人などにもメリットがあるといえます。
生徒の自主性を重んじるという点では、単位制高校はこれまでにない画期的な試みであり、個性や自立心を伸ばすのに適した制度だといえます。ただ、この制度が、楽な高校生活を保証しているというふうに捉えるのは間違いです。一方的で画一的な従来の教育制度によって保証されている「楽さ」には意外に気づかないもので、自主性を重んじるということは、その反面で厳しい自己管理が求められていることを忘れてはならないでしょう。その点をよく理解した上で単位制高校の良さをうまく活用すれば、生徒一人ひとりの興味や関心、能力、適性などに応じて、充実した高校生活が送れる可能性が広がることになり、この制度が画期的なシステムとして評価されるのではないでしょうか。